玄関
ツバメ
来客を最初に迎える玄関の上で、親ツバメがひなに餌を与えています。ツバメは繁栄の象徴とされる鳥です。巣は赤みを帯びた楠、鳥はそれより淡い色の楠で彫られています。


プロジェクト · 建築・インテリア
三代南部白雲と白雲工房が、富山の藤井組本社のために手がけた彫刻のシャンデリアと五つの生きもの

彫刻の心を宿した、富山の建物
藤井組は、井波地域に根ざす建設会社です。新社屋の建設にあたり、社長は井波の企業として、この建物のための作品を三代南部白雲に依頼しました。社名は「藤」の字で始まります。そして社長のご子息が持参したのは、天井から吊り下がる装飾の画像でした。
その対話から生まれたのが、会社のシンボルとして、エントランスホールの中央に藤の房を吊るすという構想でした。貫くテーマはただひとつ、「自然との共生」です。建物自体も周囲の環境への負荷を抑えるよう設計されており、白雲はこのテーマを館内へと広げ、五つの部屋に彫刻の生きものを配しました。
シャンデリア
作品を天井に合わせるのではなく、天井のほうを作品に合わせてつくり変えました。中央を高く持ち上げ、側面からの間接照明で照らす二重折り上げ天井とし、その中に藤が下がるようにしています。





冠は欅で、太くうねる蔓と葉のかたちに彫られています。下がるものすべての重さを支えられるよう、地元の建具職人とともに十分な強度をもたせて組み上げました。そこから垂れ下がるのは、サワグルミで彫り、ごく淡く色を差した1,000枚を超える花びら。そのあいだに、藤の花の色合いをした約180個の手作りのガラス玉が連なり、その形は一つひとつ少しずつ異なります。
重量は最小限に抑えなければなりませんでした。光源は内部に仕込んだLEDで、配線は竹の管の中に隠して通しています。書院造に学んだ工夫です。このシャンデリアは、ヨーロッパの形式を、すべて日本の彫刻の言葉でつくり上げたもの。人々が毎日訪れる空間の中心で、東洋と西洋が出会っています。

花びらのあいだに
花びらのあいだには、目を凝らした人だけが見つけられる、12匹の虫の彫刻が隠れています。ハチ、チョウ、トンボ、タマムシ、シャクトリムシ、コガネムシ。そのうち10匹を下でご紹介します。白雲はさらに、意匠のどこかにひとつ、能面を忍ばせています。










館内をめぐる
「自然との共生」、そして自然とともに栄えること。同じテーマに導かれ、白雲は建物内の五つの部屋に、彫刻の生きものを一つずつ配しました。いずれも、置かれる部屋と、その生きものが象徴する意味から選ばれています。
玄関
来客を最初に迎える玄関の上で、親ツバメがひなに餌を与えています。ツバメは繁栄の象徴とされる鳥です。巣は赤みを帯びた楠、鳥はそれより淡い色の楠で彫られています。


執務室
執務室では、実物大の三毛の招き猫が福を招いています。松と鶴を彫った座布団に座り、ひげは破線で描かれています。


通用口
通用口では、草のあいだをカエルが跳んでいます。「カエル」は「帰る」に通じ、一日の終わりに誰もが無事に家へ帰れるようにとの願いが込められています。その傍らのホタルには、光の部分に苦木(にがき)が象嵌されています。


社長室
社長室では、大きな白いヤモリが見守っています。「ヤモリ」は「家守」とも書くように家を守るものとされ、神の使いともいわれます。材は、希少な杢の出た楓です。


会議室
会議室では、流木にオニヤンマがとまっています。トンボは前にしか進まないことから「勝ち虫」と呼ばれます。目は瑪瑙、胴は柿と黄楊(つげ)。彩色は施さず、天然の木の色だけで仕上げています。


どの生きものも、置かれた部屋と、その部屋の役割に結びついています。それらが合わさることで、建物全体がひとつの彫刻空間になっています。
彫刻:三代南部白雲と白雲工房。ガラス:Studio Glass-Izm。木工:地元の建具職人。施主:株式会社藤井組(富山県南砺市)。彫刻師自身の実績作品です。
プロジェクト · 建築・インテリア
三代南部白雲と白雲工房が、富山の藤井組本社のために手がけた彫刻のシャンデリアと五つの生きもの

彫刻の心を宿した、富山の建物
藤井組は、井波地域に根ざす建設会社です。新社屋の建設にあたり、社長は井波の企業として、この建物のための作品を三代南部白雲に依頼しました。社名は「藤」の字で始まります。そして社長のご子息が持参したのは、天井から吊り下がる装飾の画像でした。
その対話から生まれたのが、会社のシンボルとして、エントランスホールの中央に藤の房を吊るすという構想でした。貫くテーマはただひとつ、「自然との共生」です。建物自体も周囲の環境への負荷を抑えるよう設計されており、白雲はこのテーマを館内へと広げ、五つの部屋に彫刻の生きものを配しました。
シャンデリア
作品を天井に合わせるのではなく、天井のほうを作品に合わせてつくり変えました。中央を高く持ち上げ、側面からの間接照明で照らす二重折り上げ天井とし、その中に藤が下がるようにしています。





冠は欅で、太くうねる蔓と葉のかたちに彫られています。下がるものすべての重さを支えられるよう、地元の建具職人とともに十分な強度をもたせて組み上げました。そこから垂れ下がるのは、サワグルミで彫り、ごく淡く色を差した1,000枚を超える花びら。そのあいだに、藤の花の色合いをした約180個の手作りのガラス玉が連なり、その形は一つひとつ少しずつ異なります。
重量は最小限に抑えなければなりませんでした。光源は内部に仕込んだLEDで、配線は竹の管の中に隠して通しています。書院造に学んだ工夫です。このシャンデリアは、ヨーロッパの形式を、すべて日本の彫刻の言葉でつくり上げたもの。人々が毎日訪れる空間の中心で、東洋と西洋が出会っています。

花びらのあいだに
花びらのあいだには、目を凝らした人だけが見つけられる、12匹の虫の彫刻が隠れています。ハチ、チョウ、トンボ、タマムシ、シャクトリムシ、コガネムシ。そのうち10匹を下でご紹介します。白雲はさらに、意匠のどこかにひとつ、能面を忍ばせています。










館内をめぐる
「自然との共生」、そして自然とともに栄えること。同じテーマに導かれ、白雲は建物内の五つの部屋に、彫刻の生きものを一つずつ配しました。いずれも、置かれる部屋と、その生きものが象徴する意味から選ばれています。
玄関
来客を最初に迎える玄関の上で、親ツバメがひなに餌を与えています。ツバメは繁栄の象徴とされる鳥です。巣は赤みを帯びた楠、鳥はそれより淡い色の楠で彫られています。


執務室
執務室では、実物大の三毛の招き猫が福を招いています。松と鶴を彫った座布団に座り、ひげは破線で描かれています。


通用口
通用口では、草のあいだをカエルが跳んでいます。「カエル」は「帰る」に通じ、一日の終わりに誰もが無事に家へ帰れるようにとの願いが込められています。その傍らのホタルには、光の部分に苦木(にがき)が象嵌されています。


社長室
社長室では、大きな白いヤモリが見守っています。「ヤモリ」は「家守」とも書くように家を守るものとされ、神の使いともいわれます。材は、希少な杢の出た楓です。


会議室
会議室では、流木にオニヤンマがとまっています。トンボは前にしか進まないことから「勝ち虫」と呼ばれます。目は瑪瑙、胴は柿と黄楊(つげ)。彩色は施さず、天然の木の色だけで仕上げています。


どの生きものも、置かれた部屋と、その部屋の役割に結びついています。それらが合わさることで、建物全体がひとつの彫刻空間になっています。
彫刻:三代南部白雲と白雲工房。ガラス:Studio Glass-Izm。木工:地元の建具職人。施主:株式会社藤井組(富山県南砺市)。彫刻師自身の実績作品です。